私は、自分がとてもしっかりとしている人間だと思っていた。
育ってきた環境のせいもあると思う。
普通ならあまり体験できないようなことも、否応がなしに体験してきた。
それは、結果的に、親と離れ一人で生きていくということにつながった。
社会人になり、自分の収入を得ることができるようになったことを誇りに思っていた。
これで、誰かを頼りにしたりしなくて済む。
自分のことは、自分で決めることができる。
そのことがとても嬉しかった。
職場は、とある保険会社の窓口業務。
初めての仕事で緊張はしていたが、それでも自分になら必ずできると思っていた。
でも・・・。
「こんなことも満足にできないのか?」
自分では一生懸命やってるつもりでも、結果は悲惨なものだった。
自分の未熟さに歯を食いしばる。
「申し訳ありませんでした・・・」
それしか言うことはできなかった。
「同じ失敗を次はしなければいい。君を採用したのは、私だ。自信を持て」
その言葉を聞いた時、私は初めて上司の顔を見ることができた。
あたたかい優しい目をしていた。
その瞳を見ていると、自分の心臓がドキドキするのが分かった。
これが恋なのだと自覚するのに、時間はかからなかった。
参考サイト⇒出逢い